マンションは様々な人が同じ空間で暮らす場所であるため、どうしても「この人とは合わないな」「これはちょっと嫌だな」と思う出来事に遭遇するのは避けられないでしょう。いわゆる隣人トラブルです。「まあ、なんとかなるか」とやり過ごしたり、話し合いを持ったりなど、前向きな手段で解決に動ければいいのですが、そうもいかない場合もあります。

最悪の場合、傷害・殺人事件にまで発展する可能性もあるので、「これは無理……」と思った時点でマンションを売却し、引っ越すのも選択肢の一つとして覚えておきましょう。そこで、隣人トラブルでマンションを売却する場合に覚えておきたいポイントを解説します。

隣人トラブルの具体例

隣人トラブルと一口に言っても、種類は様々です。誰かが不満を感じる状況であれば、それは十分隣人トラブルになりえます。マンションで起こりがちな隣人トラブルの例をいくつか挙げてみましょう。

1.騒音

小さいお子さんを育てていたり、生活パターンが夜型のため夜中に物音がしたり、ペットの鳴き声がしたり……ある程度の生活音は仕方ありませんが、度を越していたなら不満を覚えるのは当然です。

2.ゴミ出し関連

定められた曜日以外にゴミを出したり、分別ルールが全く守られていなかったりする場合もあります。

3.人間関係

特に、同世代のお子さんを育てているご家庭どうしがお互いを比較してしまい、人間関係に軋轢が生じる場合もあります。

売却の際の注意点①事実は知らせる

さて、隣人トラブルでマンションを売却する場合の注意点について考えてみましょう。絶対に忘れてほしくないのは、不動産会社にトラブルがあった事実を知らせることです。隣人トラブルの性質にもよりますが、あとに入居する人がトラブルを知らずに暮らし始めると、また同じトラブルに見舞われる可能性もあります。

そもそも、隣人トラブルの事実を知っていたら、入居しないという選択肢も出てくるはずです。ここで「知らせなければマンションを売却できるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションを売却しなければいけないほどの隣人トラブルなら、瑕疵担保責任が問われる可能性があります。

つまり、事実を知らないで買った人から、損害賠償請求を起こされるということです。どれほどの隣人トラブルなら瑕疵担保責任が問われるのか、という点についてですが、ケースバイケースなので、ここでは断言できません。

しかし、どんな隣人トラブルであっても、「こういういきさつがあった」という情報として、不動産会社の担当者と共有しておくのをおすすめいたします。気が利く担当者なら、隣人トラブルの性質に応じた的確な対応を考えてくれるはずです。

売却の際の注意点②仲介か買取か

隣人トラブルでマンションを売却する場合、不動産会社との契約形態を仲介にするか買取にするかも悩みどころです。仲介にした場合、隣人トラブルなどの事情を説明した上で、納得してくれる方に買ってもらう必要があります。いい人が早く現れれば問題はありませんが、なかなか現れなかった場合、引っ越すまでにとても時間がかかるのが大きなデメリットです。

「とにかく早くマンションを出たい!」と思うなら、買取も視野に入れて考えましょう。仲介で売却するより値段が安くなってしまうのが大きなデメリットですが、確実に手元にお金が入るうえに、早く引っ越しに移れるのはメリットです。不動産会社と相談して、どちらがいいのかを慎重に判断するのをおすすめします。

裁判という選択肢

ここまで読んで「隣人トラブルなんて、マンションで暮らしている以上当たり前でしょ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かに当たり前ですが、対応を間違えると裁判にまで発展してしまう可能性もあります。実際にあったケースをご紹介しましょう。

  • 老夫婦は、自分たちのマンションの上の階に入居してきたお子さん(男児)がいる家庭の騒音に悩んでいた。
  • 老夫婦は騒音のおかげで不眠症等の体調不良に悩まされた。
  • もちろん、老夫婦は管理組合・管理会社・警察に相談し、騒音を立てている家庭とも話し合いを持った。
  • しかし、家庭の父親は「静かにさせられない」としつけを怠り、床にマットを引くだけの簡単な対応しかしなかった。
  • そこで、老夫婦は専門業者に依頼し、家庭が立てている騒音をデータ化し、裁判に証拠として提出した。
  • その結果、慰謝料の支払いおよび騒音を出さないよう命じる判決が出た。

参照:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/035354_hanrei.pdf
(東京地裁平成19年10月3日判決)

このように、隣人トラブルに対応するには裁判を起こす方法もあります。ただし、隣人トラブルに強い専門家と話し合いを重ねた上で、慎重に対処しないと、傷害・殺人事件など手に負えないほどの新たなトラブルに発展してしまう可能性もある点にご注意ください。

わざわざ書くまでもないことですが、隣人トラブルに巻き込まれないようにするには、まずご自身が「人に迷惑をかけない」という気持ちをもって日々生活することも大事です。「この時間に音を立てたら迷惑かな?」と一歩立ち止まってみる余裕を持ちましょう。

その上で、もし巻き込まれてしまったら、一人で抱え込まず、専門家など知識を持った人に相談してみるのをおすすめします。

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