不動産は年数が経過すればするほど、購入した金額より高い金額で売却するのは難しくなります。これは、マンションも例外ではありません。そのため、マンションを売却して利益がでることは少なく、むしろ損失を出してしまう方が多いでしょう。

実は、マンションを初めとしたマイホーム(=居住用財産)を売却して損失を出した場合は、損益通算と言って、他の所得から損した部分を差し引いて所得税を計算できる特例もあるのです。そこで、マンションなどの不動産を売却して損失が出た場合の原則的な扱いと、損益通算を中心とした特例について、解説します。

まずは原則から押さえよう

国税庁によれば、個人が土地・建物などの不動産を譲渡して、譲渡損失が出た場合は、その損失額を他の土地・建物などの譲渡所得の金額から控除できます。この控除を行っても控除しきれない損失額が出た場合であっても、事業所得や給与所得など他の所得から差し引く手続きを行う=損益通算することはできません。

しかし、居住用財産(=マイホーム)を譲渡した場合に生じた譲渡損失の金額であって、長期譲渡所得に該当するなど一定の条件を満たす場合には、譲渡をした年に事業所得や給与所得など他の所得と損益通算ができます。

また、損失額がその年に損益通算を行っても控除しきれないほど高額であった場合は、譲渡した年の翌年以後3年にわたり繰り越して控除できる仕組みです。ここで、重要な考え方として長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いを説明しましょう。

ポイントは「譲渡した年の1月1日時点で、その物件を保有していた期間がどのぐらいか」という点で、5年を超えていれば長期譲渡所得として扱われ、5年以下であれば短期譲渡所得として扱われます。

長期譲渡所得になるか短期譲渡所得になるかで扱いがずいぶんと変わってくるので、住み始めてそろそろ5年というタイミングでマンションを売却する場合は、スケジュール調整をした方がいいことがあるでしょう。

参照 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|譲渡所得|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3203.htm

マイホームを買い替えた場合の損益通算および繰越控除の特例の内容

平成29年12月31日までにマンションを売却する予定ならチェックしていただきたい特例です。マンションを売却した後、新しく一戸建てや別のマンションを購入する場合、マンションの売却で赤字になった=譲渡損失が生じた場合、一定の条件を満たしていれば、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など、他の所得から控除できます。

さらに、譲渡損失が大きかったため、1年で控除しきれない場合は、売却した年の翌年以後3年にわたり繰越控除できる決まりになっています。マンションの売却においてこの特例を使うためには、次の5つの条件を満たさなくてはいけません。

  • 自分がマイホームとして使っていたマンションを売却すること。なお、現在住んでいないマンションである場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日前でに売却しなくてはいけない。
  • 売却の年の1月1日において、所有期間が5年を超えていること。
  • 売却の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを新しいマイホームとして取得すること。
  • 新しいマイホームには、取得した年の翌年12月31日までに住み始める、もしくは住み始める予定であること。
  • 新しいマイホームを購入するにあたり、新しいマイホームを取得する年の12月31日において返済期間10年以上の住宅ローンを組んでいること。

なお、繰越控除だけが適用できないケースや、損益通算・繰越控除の両方が適用できないケースもあるので、その条件も押さえておきましょう。

繰越控除が適用できない
  • 古いマイホームの敷地の面積が500平方メートルを超えている。
  • 繰越控除を適用する年の12月31日において、返済期間10年以上の住宅ローンを組んでいない。
  • 合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合、その年については繰越控除を行えない。
損益通算・繰越控除の両方が適用できない
  • 古いマイホームの売主と買主が、親子、夫婦、生計を一にする親族等、特別の関係にある。
  • 古いマイホームを売却した年の前年および前前年に次の4つの特例を適用していた。
    (イ) 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)
    (ロ) 居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(措法35。ただし、同法第3項の規定により適用する場合を除く。)
    (ハ) 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
    (ニ) 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  • 古いマイホームを売却した年又はその年の前年以前3年以内に、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5の2第1項)の適用を受ける場合又は受けている。
  • 売却の年の前年以前3年内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額についてマイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例を受けている。

実際に特例を適用するための手続きは?

この特例は、黙っていても適用してもらえるわけではないので、自分から手続きをするとが必要になります。譲渡損失が発生した年に行う損益通算の手続きと、発生した年の翌年以降に行う繰越控除の手続きとでは、流れが少し違うので説明しましょう。

1.損益通算の場合

次の書類を確定申告書に添付して提出しましょう。

  1. 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
  2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
    (租税特別措置法第41条の5の2用)
  3. 売却したマイホームに関する次の書類
    ・登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの
    ・譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書(売買契約日の前日のもの)

ちなみに、マンションの売買契約日の前日において、そのマンションの売主である人の住民票に記載されている住所とマンションの所在地が異なる場合には、さらに次の書類も必要になります。売主が実際に売却するマンションをマイホームとして使っていたことを明らかにするためです。

  • 戸籍の附票の写し
  • 消除された戸籍の附票の写し
  • その他これらに類する書類
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2.繰越控除の場合

損益通算の適用を受けるに当たり、必要な書類をすべて添付して期限内に確定申告を行い、その翌年から繰越控除を適用したい年の間は連続して確定申告書(損失申告用)を提出し続けましょう。

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