大切なご家族・ご親族が亡くなった場合、家やマンションなどの不動産を相続することもあります。そこにそのまま住み続けるなら問題はありませんが、すでに持ち家があったり、大掛かりな引っ越しをしなければいけなかったりなどの理由で売却せざるを得ないときは、売却したことでどれだけ税金を払わなくてはいけないのかを把握しておく必要があるでしょう。

今回は、相続した不動産を売却した場合にかかる税金をクローズアップします。

税金がかかるのは利益が出た場合

ここで、相続したものに限らず、不動産を売却した際にかかる税金の仕組みについてご説明しましょう。「不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して税金がかかる」を大前提として覚えておいてください。

不動産を売却して出た利益を譲渡所得といい、次の式で計算されます。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費)

こうして求められた譲渡所得に税率をかければ、支払うべき税金(=譲渡税)がわかります。
この計算式のそれぞれの項目についても、もう少し詳しく説明しましょう。

譲渡収入とは?

譲渡収入とは、文字通り「不動産を売却して得られた収入」と考えてください。なお、相続の場合に限らず、不動産を売却した場合、固定資産税の扱いをどうするかが問題となります。固定資産税は、その年の1月1日現在の不動産の所有者が支払わなくてはいけないため、1年の途中で売却した場合でも、一度売主がまとめて支払う必要があるからです。

そのため、買主が売主に自分が本来支払うべき固定資産税の額を渡すのが一般的な扱いですが、この受け取った固定資産税も譲渡収入に含めましょう。

取得費とは?

取得費とは、土地・建物の取得に要した費用に設備費及び改良費を加えたものです。一般的には、買ったときの代金に、不動産会社に支払った仲介手数料や購入時の売買契約書に貼付した印紙代、登記費用、不動産取得税を足して計算します。

しかし、相続した不動産である場合、これらの詳しい数字がよくわからないのも珍しくありません。そこで、売却代金=譲渡収入の5%を取得費とすることが認められています(概算取得費)。何十年も前に取得した土地・建物であって、実際の取得代金を使うより概算取得費を使った方が金額が大きくなる場合でも使えるので覚えておきましょう。

また、売買契約書や領収書がない場合であっても、次の手段によって実際の取得費を証明できるかもしれません。

  • 取得にあたって銀行から融資を受けていた場合、銀行等に問い合わせて稟議書を確認してもらう。
  • 登記簿謄本を入手し、権利部・乙区の抵当権の金額から証明する。
  • 不動産を取得した際の確定申告書が残っていないか調べる。
  • 購入した不動産会社がわかっていたなら、問い合わせる。
  • 昔の手帳や日記が残っていたなら、購入のいきさつを調べる。

いずれにしても、家は大きな買い物なのだから、どこかにヒントは眠っているはずです。相続税の申告に関して税務調査が入った場合でも、これらの証拠があればやりとりがスムーズに進むので、「これ、役に立つかな」と思えた資料は取っておくといいでしょう。

税理士に相談するのがやはり安心

先ほどの話と関連しますが、何年も前に購入した不動産を相続し、売却する場合、譲渡所得の計算だけでも一苦労でしょう。そのため、相続が発生した時から、一度税理士に相談するのをお勧めします。ご存知の方もいるかもしれませんが、相続税を払わなくてはいけない場合、申告書は亡くなった日の翌日から10か月以内に提出しなければいけません。

お葬式、法事などと同時並行でこなさなければいけないため、かなりの作業量になります。相続が終わったとたん、倒れてしまうご遺族の方もいるため、頼れる専門家は頼っておいたほうがいいでしょう。取得費の証明一つをとっても、専門的知識がないとなかなか厳しいので、適宜話し合いをしながら進めてください。

なお、税理士を選ぶ際は、相続税の申告をある程度手掛けている人に頼むのをおすすめします。税理士にも得意・不得意があるため、中には「相続税の申告書なんて書いたことがない」という人もいます。もし、お知り合いに税理士がいるなら頼ってもいいですが、そうでない場合は、インターネットで「相続税 税理士」と検索し、相続を得意にしている事務所を探すのが無難です。

さらに、ご家族・ご親族と生前に相続について話し合う機会を設けるのも、いい相続対策になります。ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など、ご家族で集まれる機会に相続の話をしてみるといいでしょう。

最初は抵抗があるかもしれませんが、事前に把握しておくことで相続がスムーズに進むのは本当です。最近流行しているエンディングノートを家族全員で作っておく、などの取り組みも参考にしてください。

おすすめの記事